電力会社からの要請により、発電した出力を減らしたり停止させたりして発電設備からの出力をコントロールすることです。
電気は瞬時瞬時の需要・供給のバランスを保たなければなりませんが、太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーは天候に左右されるため、発電量を調整することができません。暖房や冷房を使用しない春や秋においては、工場などが休みになる休日は、電力の需要は年間のピーク時の半分程度になります。しかし春の昼間は、天候がよければ太陽光発電が年間でもっとも発電する時期です。場合によっては、電力が余ってしまう可能性が生じてしまいます。
　需要が少ない時期に出力制御を行うことで供給過多による停電等の事態を防ぎ、また、より多くの太陽光発電設備の受け入れを可能とするために、出力制御ルールが導入されました。

　発電所の発電量を調整し電力供給のバランスをとる出力制御には、「優先給電ルール」と言われる順番があります。
火力→揚水→大型バイオマス→太陽光・風力→長期固定電源とよばれる原子力・水力・地熱の順となり、電源の特性にあわせた順位となっています。
原子力などの長期固定電源は、出力を小刻みに調整することが技術的に難しく、一度出力を下げてしまうとすぐには出力を戻すことができません。
例えば、昼間の時間帯に太陽光を優先して原子力の出力を落としてしまうと、朝や夕方などの太陽光の発電量が減少する時間帯になった時に原子力をすぐ元の出力に戻して不足分を補うということができないのです。そのため、すぐに稼働できる火力発電などで出力を調整しています。

　余った電気をムダにしないように送電線を増やすことも考えられますが、費用も数約億～一千億円単位となるだけでなく設置までの年月の問題もあり、近々の対策としては現実的ではないのが現状です。

　しかし2018年7月に閣議決定された第5次エネルギー基本計画では、「再生可能エネルギー（再エネ）を主力電源化していく」ことが打ち出され、その方針を受けて、現在もさまざまな再エネの導入に向けた検討がおこなわれています。太陽光を含む再生可能エネルギーは、まだまだ導入の拡大が必要と考えられています。

　東北電力エリアで出力制御の対象となる発電設備は、電力会社への契約申込の受付日によって旧ルールと指定ルールが適用されます。
【旧ルール】
500kw以上の設備に対して出力を抑制しても電力の供給量が需要量を上回る場合、年間30日を上限に無保証で出力制御が要請されます。
（電力会社の契約申込の受付日が2014年9月30日まで）
【指定ルール】
10kw未満：2015年4月1日以降に契約申込の受付された設備が適用されます。
10kw～50kw未満：2015年1月26日以降に契約申込の受付された設備が適用されます。
高圧・特高：2014年10月1日以降に契約申込の受付された設備が適用されます。
　※上記のそれぞれの日付以前に受付された設備は出力制御の対象外です。
指定ルールの場合は、無制限の出力制御の対象となります。

　出力制御ルールが定められた再エネ特措法は、2015年1月26日に一部のルールが変更されました。

最も大きい変化は、住宅用の10kw未満も出力抑制の対象に含まれるようになったことです。出力制御する時間の上限も、1年で30日（30日ルール）から、東北電力エリアにおいては無制限に変更されました。ただし、2015年4月1日以降に受付された10kw未満の設備については、10kw以上の出力制御後に行う優先的な扱いとされています。

　2015年4月1日以降に電力会社に契約申込の受付がされた設備は、出力制御に対応したパワコンの設置が義務付けられました。さらに、実際に運用される際には、原則としてインターネット環境を必須としています。これは、毎日更新される出力制御スケジュール情報を取得するためです。
更新スケジュールは、気象情報などをふまえた詳細な制御値などの情報で、出力制御は最小限にとどまるとされています。これを取得できない場合やインターネット環境がない場合は固定スケジュールとなり、年間のおおまかな制御スケジュールとなり、更新スケジュールに比べ損失が増えてしまう可能性があります。

≪出力制御の流れ≫
①気象情報などをもとに予想される需給量を想定し、出力制御値を算定
②出力制御スケジュールを作成、実施の前日までに予告
③制御当日まで需給状況や気象情報から判断し、出力制御スケジュールを最新化
④出力制御の実施

設置した時期やメーカー・型式によっては、出力制御装置（出力制御ユニット）など別途機器を準備しなければならない場合がありますので、販売店等に確認する必要があります。

→ 東北電力　出力制御に関するお知らせ

→ 経済産業省 資源エネルギー庁　出力制御について